健康コラム

しゃがむとかかとが浮く|足首の硬さが膝や腰に出るまで

しゃがむとかかとが浮く|足首の硬さが膝や腰に出るまで
hayato
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「実は私、足首もすごく硬いんです」

最近よく聞かれるのが、この言葉です。正確には、聞かれるというより、体の話をしている途中でふと出てくることが多い、という感じです。

ハヤト整体院、田村です。

しゃがむのが苦手。和式のトイレがつらい。しゃがむと後ろに転びそうになる。ご飯を食べに行って座敷だったときに「あ、しゃがむの苦手だな」と思い出す。

正直に言うと、この悩みで強く困っている方はあまりいません。困っているというより、しゃがむことを使わなくなっている、という表現のほうが近いと思います。椅子とソファの生活になって、床に座る機会そのものが減っているからです。

だから優先順位が低くなりやすい。でも、体を見ている側からすると、足首はいちばん最初に見たい場所のひとつです。

先に結論をお伝えします。足首が硬いと、その上にある膝、股関節、骨盤、背骨の使い方まで変わっていきます。しゃがめないことが問題なのではなく、しゃがめない体で毎日立って歩いていることのほうが影響します。

この記事を読み終えると、足首の硬さが体のどこに出るのか、自分の足首が硬いかどうか、そして何からやればいいのかが分かります。

しゃがんでもらうと、何が起きているか

勝川の院でも、しゃがんでもらうとよく分かります。

まず、かかとが浮きます。そして膝が内側に入っていきます。背中はまっすぐのままで、丸まらない方も多いです。

しゃがむという動作には、足首、膝、股関節、背骨が全部関わります。どこかが動かないと、他のどこかが代わりに頑張ることになります。膝を内側に入れてなんとかしゃがもうとする方、背中が丸まらないからしゃがみきれない方。同じ「しゃがめない」でも、中身は違います。

ちなみに、こうしたことをそのままお伝えしても、たいていは伝わりません。「足首と関係なさそうですけど」という反応になります。それが普通だと思います。

体は地面から始まる

足首から膝・股関節・腰へと体がつながっていることを示したイラスト
足首が動かないと、その上の膝・股関節・骨盤・背骨の使い方まで変わっていきます。

人は二本足で立っています。体重を支えているのは足です。だから足の状態が良くないと、その上にあるものは全部その影響を受けます。

足首が硬いと、重心を前に乗せることができません。すると、かかと側に体重が乗ったままになります。かかと重心になると骨盤が後ろに倒れます。骨盤が後傾すると背中が丸まり、お腹の力、つまり腹圧が入りにくくなります。

足首ひとつで、ここまで変わります。

ただ、肩こりで来られた方に「原因は足首です」といきなりお伝えすることはしていません。言われた側からすると、まったく繋がって見えないからです。だから足首の話は前に出さずに、調整だけはしておく、という扱いにしています。それでも、足はとても大切だと思っています。

足を見るときに確認しているのは、この4つです。

  • 足裏:筋肉の硬さと、扁平足になっていないか
  • かかと:立ったときの向き
  • 足指:曲がるか、曲がらないか
  • 土踏まず:触った感じと、アーチが落ちていないか

足首が硬いと、どこに出るのか

順番に見ていきます。

膝は、いちばん影響を受けやすい場所です。足首が動かないと、膝を使って動くことが増えます。使う回数が増えれば、それだけ負担も集まります。

股関節は、逆に動かしにくくなります。ここは重心と連動していて、かかとに体重が乗っていると股関節は動きにくく、膝ばかりが動きます。反対に、重心が少し前に行くと、膝をあまり使わずに股関節が使えるようになります。だから、膝を使わずに股関節を使う練習が必要になります。

骨盤は、重心の位置でそのまま変わります。かかと重心なら後傾、つま先側に乗れば前傾しやすくなります。背骨も、丸くなったり、逆に平らになったりします。

歩き方も変わります。足首が硬いと、地面を蹴る動きが少なくなります。すると、足を前に運ぶのではなく、横に出すような歩き方になります。いわゆるドスドス歩きです。膝と股関節を使って歩けていない状態です。

そして、腰まで来ることがあります。

足首が硬いと、すねの前側にある前脛骨筋が硬くなります。前脛骨筋が硬くなると、太ももの外側にある大腿筋膜張筋の動きが悪くなります。そして大腿筋膜張筋が硬くなることで、腰に痛みが出る方がいます。

ここで大事なのは、伝える順番です

いきなり「腰痛の原因は足首です」と言っても伝わりません。実際には、先に大腿筋膜張筋を緩めて、腰が動きやすくなったことを体感してもらう。そのうえで、その硬さがどこから来ているのかを足首まで辿っていく。この順番でないと、繋がりは見えないと思っています。

自分の足首が硬いか確かめる

やり方はシンプルです。

足を腰幅くらいに開いて立ちます。つま先の向きはそこまで気にしなくて大丈夫です。壁に手をついて、そのまましゃがんでみてください。まずはこれだけで十分です。

一回だけでなく、ゆっくり何度か繰り返してみてください。繰り返すほうが、その人のクセが出やすくなります。

かかとが浮くのは、すねが前に倒れていかないからです。しゃがむとき、すねは足首の上で前に倒れていきます。足首が硬いというのは、この動きが出ないということです。

理由は2つあります。ひとつは、関節そのものが固まっていること。もうひとつは、すねと足首の間にある組織が硬くなっていることです。後者の場合、関節に大きな問題がなくても、すねが前に行きません。だから、まずその硬さを取ってから動かします。

見るポイントは、かかとと膝です。足首が硬い方は、かかとを内側に入れて、足先は外に向けて、なんとかバランスを取ろうとします。膝が内側に入っていく方も、足首が硬い傾向があります。大事なのは、足の位置をずらさずにしゃがめるかどうかです。

もうひとつ確かめてほしいのが、体重です。足を少し前に出して、足首に体重を乗せられるか。乗せられない方は、かかとに逃げています。

ちなみに、現場の感覚では8割くらいの方が硬いです。できなくても落ち込まなくて大丈夫です。左右差については、あまり気にしすぎなくていいと思います。

なぜ硬くなるのか

理由はいくつかあります。

ひとつは、昔の捻挫です。捻挫のあとは靭帯が緩みます。本来はそのぶんを筋肉で補えるのですが、捻挫のあとに筋肉のリハビリまでされている方は、実際にはあまりいません。緩んだまま、支え直さないまま時間が経っていることが多いです。

もうひとつは、生活です。しゃがむ機会そのものが減っています。使わない動きは、できなくなっていきます。

そして、股関節や体幹を使う習慣がないこと。体幹が使えないと、膝で動くことが増えます。股関節を使って動くという感覚が、生活の中から減ってきていると感じます。春日井のあたりは車移動が中心の方も多いので、なおさらです。

最後に、骨盤です。腹圧が抜けた状態で骨盤が後傾していると、足首は硬くなります。これがいちばん良くない組み合わせだと思っています。

ゆるめてから、動かす

順番があります。ゆるめてから、動かす。この順番です。

理由は、足首の硬さには2種類あるからです。筋肉が硬くて動かない場合と、関節の柔軟性がなくなって動かない場合。まず筋肉のほうをゆるめて、動く範囲が広がった状態をつくります。そのうえで動かすと、体が「ここまで動く」と学習しやすくなります。広がった可動域が、その人の標準になっていきます。

STEP1
アキレス腱まわりをゆるめる
ふくらはぎからかかとにかけて。ここが硬いと、すねが前に倒れていきません。
STEP2
足首の前側をゆるめる
しゃがんだときに詰まりを感じる場所です。前側が硬いと、動かせる範囲がそこで止まります。
STEP3
足指をゆるめる
足指が動かないと、足裏で地面をとらえられません。土台の感覚が変わります。
STEP4
ゆるんだ状態で、足首を動かす
可動域が広がったところで動かして、体に覚えてもらいます。

STEP1|アキレス腱まわり

STEP2|足首の前側

STEP3|足指

STEP4|足首を動かす

動かすときに意識してほしいのが、足首の中にある細かい関節です。距骨や、足の甲にあるリスフラン関節と呼ばれる部分です。こう書くと難しく聞こえますが、こんなところが動くと思っていない方がほとんどです。実際、ここが固まっている方は年々増えている印象があります。

やり方としては、足首をしっかり手でホールドして、細かく動かしていきます。ここが動くようになると、重心の位置や足のバランスが変わっていきます。

回数は1日10回から20回くらいを目安にしてください。

戻ってもいい。また、やる

体には元に戻ろうとする力が必ずあります。ケアをして硬さが取れても、生活が変わっていなければ戻ります。それが普通です。大事なのは、戻ったらまたやる、を繰り返すこと。繰り返すうちに、戻る力そのものが弱くなっていきます。一回で変えようとしなくて大丈夫です。

痛みについては、ラインがあります。やっている最中は痛いけれど、やめると痛みが引く。これはまだ続けて大丈夫です。やめても痛みがずっと続く場合は、すぐにやめてください。動かした瞬間に痛みが走る場合も、やらないでください。

やっても変わらないとき

足首のケアを続けているのに、しゃがみやすくならない。そういう場合は、股関節を見ます。

多いのは、お尻を後ろに引く動きが苦手なパターンです。しゃがむ動作は足首だけで決まるものではなく、お尻を引けるかどうかでも変わります。足首が動くようになっても、お尻が引けなければしゃがめません。

もうひとつは、単純にしゃがむ練習が足りていないことです。ケアで硬さを取っても、しゃがむ機会が生活の中になければ、動きとして身につきません。

すねと足首の間の硬さを取りながら、しゃがむ回数そのものを日常の中で増やしていく。この両方が要ります。

よくある質問

Q
足首が硬いだけで、病院に行ったほうがいいですか
A.硬さそのものは病名になりにくいので、それだけで受診するのは現実的ではないと思います。ただし足首や膝に痛みがある場合は別です。痛みがあるなら、まず病院で診てもらってください。そのうえで体の使い方を見ていくほうが安心です。
Q
しゃがめないのは年齢のせいですか
A.年齢だけの問題ではないと思っています。しゃがむ機会が生活から減っていることのほうが大きいです。使わない動きはできなくなっていくので、逆に言えば、使う機会を戻していけば変わる余地があります。
Q
左右で硬さが違います。気にしたほうがいいですか
A.あまり気にしすぎなくて大丈夫です。もちろん見てはいますが、まずは両方とも動くようにしていくことのほうが先です。

まとめ

  • 足首が硬いと、膝・股関節・骨盤・背骨の使い方まで変わる
  • 確かめ方は、壁に手をついてしゃがみ、かかとが浮くかを見る
  • ケアはゆるめてから動かす。戻ってもまたやる、の繰り返しでいい

最後にひとつだけ。

足首は、動かせば硬さが取れていきます。ただ、ここで言う「動かす」は、足首をぐるぐる回すことではありません。歩くとき、しゃがむとき、立つとき、足首をちゃんと「使う」ということです。

回す運動を足すより、使う場面を増やすほうが変わります。勝川の当院でも、そこをいちばんお伝えしています。

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田村隼人
田村隼人
ハヤト整体院院長
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