巻き肩は肩甲骨を寄せればいい?肩だけで決めない体の見方

私、巻き肩なんです。肩甲骨を後ろへ寄せた方がいいですか?
巻き肩が気になる方から、よく聞かれる質問です。
鏡や写真を見ると肩が内側へ入っている。そこで姿勢を良くしようと、胸を張ったり、肩甲骨を寄せたりする。それでも気を抜くと元に戻り、背中や首ばかりが疲れてしまう。
そんな方も少なくありません。
先に、ぼくの考えをお伝えします。
巻き肩は、肩甲骨を後ろへ寄せ続けて形を作るものではありません。
同じように肩が前へ入って見えても、頭の位置、腕や胸の前の状態、背骨の形、肩甲骨の傾きなど、見る場所は人によって変わります。
この記事では、
- 「巻き肩」という言葉が指しているもの
- 同じように見えても、見る場所が変わること
- 肩甲骨を寄せ続けると疲れる理由
- 今日から自分で確かめられること
- ハヤト整体院で見ていること
を順番に紹介します。
「巻き肩」と言われても、肩だけでは決まりません
巻き肩は、肩が内側へ巻いて見える状態を表す言葉です。
見た目が気になって相談される方もいれば、肩こりや首のつらさ、頭痛などの不調があり、その中で「巻き肩も関係していますか」と聞かれる方もいます。
ただ、肩が前へ来る理由は一つではありません。
胸の前側が固くなり、肩が前へ引かれている場合があります。前腕や上腕が固くなり、腕全体が内側へ向きやすくなっている場合もあります。背中側の筋肉を使いにくくなっている方もいます。
ぼくが最近よく見るのは、背中の丸みが少なく、背骨がまっすぐになっている方です。
本来、背中には少し丸みがあります。しかし、姿勢を良くしようとして胸を張り、肩甲骨を寄せ続けていると、背中をまっすぐに固めたまま立つことがあります。
一枚の写真だけで理由を決めるのではなく、頭や腕を動かしたとき、背中を丸めたときに見え方や動きがどう変わるかを確かめます。
巻き肩という言葉は同じでも、肩が前に見えるまでの流れは一人ずつ違います。

同じように見えても、見る場所は変わります
ここでは、ぼくが現場で見る二つの場面で考えてみます。
「あなたはどちらのタイプ」と分けるためではありません。同じように肩が内へ入って見えても、先に確認する場所が変わることを知ってもらうための例です。
頭が前に出て、肩が巻いて見える場面
一つ目は、頭が前へ出ていることで、横から見ると肩が内側へ入って見える場面です。
頭が肩より前にあると、遠近法のように、肩が後ろへ残って巻いているように見えることがあります。この場合は、肩そのものだけではなく、頭の位置と首から背中にかけての動きを先に確認します。
この方が肩甲骨だけを後ろへ寄せても、頭の位置が変わらなければ、全体の見え方は変わりにくいです。肩を後ろへ引くことより、頭と背中をどのように動かしているかを見る必要があります。
頭の位置については、こちらの記事で紹介しています。
詳しくはこちら
肩甲骨が前へ倒れている場面
二つ目は、肩甲骨そのものが前へ傾いている場面です。
肩甲骨は、胸郭と呼ばれる胸まわりの上に乗っています。そのため、肩甲骨の傾きだけを見るのではなく、背中が丸まるか、胸まわりが動くかも一緒に確認します。
この方に「肩甲骨を寄せてください」とだけ伝えると、肩甲骨が前へ傾いたまま、背中に力を入れて寄せることがあります。そこで先に見るのは、肩甲骨を強く引けるかではなく、背中を動かせるかです。
このほかにも、背中の丸みが少なくなっている方など、見え方はいろいろあります。
同じ巻き肩に見えても、一つ目は頭の位置、二つ目は肩甲骨の傾きと背中を先に見ます。

肩甲骨を寄せ続けると疲れる理由

肩甲骨を寄せているつもりなのに、背中と首が疲れるんです。

寄せ続けるより、まず力を抜けるかを見てみましょう。
意識して作った姿勢は、そのあいだ力が入り続けます。自然な姿勢は、そんなに力を入れなくても保てるものです。
肩甲骨を寄せる動きそのものが悪いわけではありません。
ただ、よい姿勢を保つために一日中寄せ続けると、背中へ力を入れ続けることになります。最初は姿勢が整ったように感じても、仕事や家事をしながら同じ力を保つのは大変です。
肩甲骨は、胸郭の上を滑るように動きます。背中や胸まわりを一つの形に固めたままでは、肩甲骨も動きにくくなります。
大切なのは、肩甲骨をずっと後ろへ置いておくことではありません。
寄せることもできる。力を抜くこともできる。背中を丸めたり伸ばしたりできる。
必要に応じて動きを変えられることです。
日常では、腕を前へ伸ばして物を取ることもあれば、上へ手を伸ばすこともあります。そのたびに肩甲骨の位置は変わります。ずっと同じ位置へ寄せておくより、動作に合わせて動ける方が自然です。
胸を張って作った姿勢は、意識している間しか続きにくいものです。まずは、無意識に肩甲骨を寄せ続けていないかに気づくところから始めます。
背骨と胸郭の動きについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
詳しくはこちら
今日から確かめられること
自宅で確かめてほしいことは二つです。
肩甲骨を寄せる・胸を張るのを、いったんやめてみる
一つ目は、姿勢を良くしようとして入れている力を、いったん抜いてみることです。
肩甲骨を寄せている方は、一度その力を抜きます。胸を張っている方も、胸を前へ突き出すのをやめてみてください。
そのとき、
- 背中や首の力が少し抜けるか
- 呼吸がしやすくなるか
- 肩が自然にどこへ戻るか
を感じます。
力を抜いた姿勢を「悪い姿勢」と決めなくても大丈夫です。まず、自分がどれくらい背中へ力を入れていたのかに気づければ十分です。
両手を前で組み、背中を丸めてみる
二つ目は、背中が丸まるかを確かめる動きです。
両手を前へ伸ばして組み、無理のない範囲で背中を丸めてみてください。
大きく動かす必要はありません。
- 背中の真ん中に丸みが出るか
- 肩甲骨の間が少し広がる感じがあるか
- 首や肩に余計な力が入っていないか
を確認します。
背中を丸められないから悪い、と判定するためのものではありません。今の自分はどこから動いているのかを知るための確認です。
スマートフォンやパソコンを使うときは、頭と腕が前へ出た姿勢が長く続くことがあります。画面を少し目線に近づけるだけでも、下を向き続ける時間を減らせます。ただし、スマートフォンだけを巻き肩の原因と決めるものではありません。
ハヤト整体院では、巻き肩の何を見るの?
ハヤト整体院では、最初に、見た目が気になっているのか、肩や首などの不調があるのかを聞きます。
そのうえで、肩だけを見るのではなく、骨盤、背骨、胸郭、肋骨、肩甲骨、首・肩の順に確認します。
骨盤の位置や動きが変わると、その上にある背骨の使い方も変わります。背骨が動くと、胸郭の動きも変わります。そして肩甲骨は、その胸郭の上を動きます。
このつながりを見るため、立った姿だけで判断せず、実際に背中を丸めたり、腕を上げたりしてもらいます。
たとえば、頭が前へ出て肩が巻いて見える方なら、頭の位置と首から背中の動きを確認します。肩甲骨が前へ傾いている方なら、肩甲骨だけでなく、背中に丸みが出るかを見ます。

肩だけを後ろへ戻すのではなく、肩甲骨が乗っている背中から見ていきます。
施術の前後で比べているのは、肩の上げやすさと背中の丸みです。
施術前と同じ動きで、肩の上げやすさと背中の丸みを比べます。本人が先ほどより動かしやすいと感じるかを一緒に確認します。

本当だ、さっきより腕が上がりやすいです。
まとめ
- 巻き肩は、肩甲骨を後ろへ寄せ続けて形を作るものではありません
- 肩が前に見える理由には、頭の位置、腕や胸の前、背骨の形、肩甲骨の傾きなどがあります
- 同じように見えても、先に確認する場所と伝えることは変わります
- まず「肩甲骨を寄せる・胸を張る」をいったんやめ、自分がどれくらい力を入れていたかを感じます
- 両手を前で組んで背中を丸め、背中が動くかを確かめます
- 施術の前後では、肩の上げやすさと背中の丸みを比べます
巻き肩が気になったときは、肩甲骨を後ろへ固定する前に、背中が丸まるか、力を抜いたときに肩がどこへ戻るかを確かめてみてください。
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