背骨と胸郭はなぜ動くことが大切?首・肩・腰との関係
最近よく聞かれるのが、

猫背にならないように、背筋はずっと伸ばした方がいいですか?
背中が硬いと、肩こりや腰痛にも関係しますか?
という質問です。
姿勢を気にしている方ほど、背骨はまっすぐに伸ばしておくものだと思っていることが多いです。
結論からいうと、背骨は、まっすぐに固定すればよいわけではありません。
背骨にはもともと曲線があり、いろいろな方向へ動くことで、首・肩・腰などと一緒に体を支えています。
大切なのは、形を一つに固定することではなく、必要な方向へ無理なく動けることです。
この記事では、
- 背骨はどこにあり、どんな形をしているのか
- 背骨はどのように動くのか
- 胸郭とは何か
- 背筋はずっと伸ばしておくべきなのか
- 首・肩・腰や、骨盤・股関節とどう関係するのか
このあたりを、体の知識がない方にも分かるように紹介します。
そもそも背骨ってどこ?
積み木のように連なった骨
背骨は、首から骨盤のあたりまで続いています。
一本の棒ではなく、小さな骨が積み木のように連なってできていて、骨と骨の間には関節があります。
役割は大きく三つです。体を支える柱であること。神経を守るトンネルであること。そして、体を動かす関節の集まりであることです。
骨の細かい名前を覚える必要はありません。
背骨には、もともと曲線がある
背骨は、横から見るとまっすぐではありません。
首と腰は少し反り、背中は少し丸い。この曲線があることで、体の重さや衝撃をうまく受け止めています。
曲線の大きさには個人差があります。完全にまっすぐな状態が正解、というわけではありません。
ハヤト整体院には等身大の骨模型があります。それを見たお客さんが、

あ、本当だ、丸い、反ってる
と言われることがよくあります。それくらい、背骨はまっすぐだと思われやすい場所です。
背骨は、まっすぐな一本の棒ではなく、曲線を持った骨のつながりです。

背骨はどのように動くの?
背骨には、大きく分けて四つの動きがあります。
- 丸める
- 反る
- ねじる
- 横に倒す
後ろを振り返る、床の物を取る、寝返りをうつ、歩く。日常の動作の中で、背骨はこの四つの動きを少しずつ組み合わせています。
背骨全体が同じように動くわけではなく、場所によって、動きやすい方向や動く範囲が違います。
背骨は一つの形を保つだけでなく、いろいろな方向へ少しずつ動いています。

胸郭(きょうかく)って何?
あばら骨と背骨と胸の骨でできたかご
胸郭は、背中側の背骨、左右のあばら骨、前側の胸の骨でできています。
心臓や肺を守るように囲む、かごのような形です。
ぼくは、あばら骨と背骨を合わせて胸郭、と説明することが多いです。背中の真ん中にある背骨は、胸郭の一部でもあります。

胸郭という言葉を覚えるより、あばら骨に囲まれた胸まわりと理解できれば十分です。
呼吸と肩の動きにも関わる
息を吸うと、あばら骨まわりが広がり、吐くと小さく戻ります。呼吸に合わせて、胸まわりの形は少しずつ変わっています。
肩甲骨は、あばら骨に囲まれた胸郭の外側に沿って動きます。そのため、胸郭の位置や動きによって、腕の上げやすさが変わることがあります。
胸まわりが動きにくいと、首や肩まわりの筋肉が、呼吸を手伝う割合が増えることがあります。
ただし、胸郭の形だけで肩こりの原因を決めることはできません。
呼吸の仕組みそのものは、体幹・呼吸の記事で詳しく紹介しています。
胸郭は、背骨・あばら骨・呼吸・肩の動きをつなぐ場所です。

背筋は、ずっと伸ばしておいた方がいいの?
親に「背筋を伸ばしなさい」と言われて育った方は多いと思います。
そのため、姿勢を良くすることは、胸を張って背筋を伸ばし続けることだと思われやすいです。
ただ、ぼくはこれを少し勘違いだと考えています。
胸を張って力で保ち続ける姿勢は、負担を感じやすくなります。大切なのは、力を入れ続けなくても姿勢を変えられることです。力で固めた姿勢は、長くは続きません。
実際に体を見ていると、姿勢を意識しすぎて、背中の丸みがなくなり、背骨がまっすぐになっている方が少なくありません。本来、背中には少し丸みがある方が自然です。
背中を丸めること自体が悪いわけではありません。胸を張ることや、背筋を伸ばすことも悪くありません。
気をつけたいのは、一つの姿勢で長く固めてしまうことです。無理に胸を張ったり、肩甲骨を寄せ続けたりしなくても大丈夫です。
丸める、反るを、必要に応じて切り替えられること。

ぼくは、100点の姿勢を目指すより、70〜80点くらいの姿勢を無理なく保てる方が大切だと考えています。
よい姿勢とは、背骨を一つの形に固定することではなく、必要に応じて姿勢を変えられることです。
背骨は、ひとりで動いているわけではない
背骨や胸郭の動きが小さくても、体は日常の動作を続けます。
そのため、ほかの場所が動きを補うことがあります。
補うこと自体は、体に備わっている自然な反応です。必ず痛みにつながるわけではありません。
ただ、同じ場所ばかりが繰り返し頑張っていると、そこに張りや負担を感じることがあります。
首・肩・腰との関係
後ろを振り返るとき、背中がねじれにくいと、首や腰が多く動くことがあります。
腕を上げるとき、背中が伸びにくいと、肩や腰がその分を補うことがあります。
前にかがむときは、背骨・骨盤・股関節のどこかに動きが集まりやすくなります。
肩こりなら、背中の真ん中が動かない分、肩まわりが頑張る。腰痛なら、背中や股関節が動かない分、腰が頑張る。胸まわりが動きにくいと、首や肩まわりの筋肉が呼吸を手伝う割合が増えることがあります。ぼくが現場でよく見るのは、こうした流れです。
「背骨が硬いから痛む」と一つに決めるのではなく、体全体でどのように動きを分けているかを見ることが大切です。
骨盤・股関節との関係
日常の多くの動作では、骨盤と背骨が連動して動いています。
骨盤を後ろに倒すと背骨は丸くなり、前に倒すと背骨は反っていきます。
慣れてくると、背骨を動かしながら骨盤を止めたり、骨盤を動かしながら背骨を止めたりと、必要に応じて別々に使うこともできます。
前にかがむときは、背骨・骨盤・股関節が一緒に働きます。股関節だけ、腰だけと、一か所で動く必要はありません。場面によって、動きの分け方が変わります。
体幹との関係
体幹で支えることと、背骨を動かすことは、両立します。
背骨をガチガチに固めることが、体幹の目的ではありません。体幹で支えながら、背骨を動かせることが大切です。
ハヤト整体院では、背骨と胸郭の何を見るの?
ここからは、ハヤト整体院で背骨と胸郭を見るときの考え方です。
ぼくは、背骨の動きを点数で評価しているわけではありません。見ているのは、次のようなことです。
- 背骨にもともとの曲線があるか
- 丸める・反る・ねじる・横に倒す、それぞれの動き
- どの部分が動きやすく、どこが動きにくいか
- あばら骨まわりが、呼吸に合わせて動くか
- 腕を動かしたときに、肩や腰ばかりが頑張っていないか
- 骨盤・股関節と一緒に動けているか
- 動かしたときの痛みや怖さ
たとえば、椅子に座ったまま後ろを振り返ってもらいます。胸から回れているか、肩や腰でごまかしていないか。両手を上げて背伸びをしてもらうと、胸の真ん中から伸びるか、腰だけで反ってしまうかが分かります。
骨盤や背骨を動かしてもらうと、

そもそも、そんなところが動くんですか?
と聞かれることがあります。動いた方がいい場所だと知らなかった、という方も多いです。
どこまで動くかより、自分の背骨がどのように動いているかを知ることが大切です。
今日からできること
猫のポーズで、背中を丸めてみる
四つんばいになります。両手は肩の下、両膝は股関節の下あたりに置きます。
そこから、無理のない範囲で背中を丸めてみてください。
背中全体に丸みが出るか。腰や首だけを大きく動かしていないか。そんなところを感じてみます。
猫のポーズは、骨盤を動かしながら背骨を動かす体操なので、ぼくもよくおすすめしています。比較的取り組みやすい動きですが、痛みのない範囲で行います。
左右差や動かしにくさがあっても、良い悪いではなく、自分の特徴として見てください。
「丸くできないから異常」と決めるものではありません。大きく動かすことや回数を頑張ることより、背骨がどこから動いているかを感じるための確認です。
無理に続けない方がよい場合
よくある質問
Q. 背中が丸いのは、悪い姿勢ですか?
A.背中には、もともと丸みがあります。
丸まること自体が悪いわけではありません。
一つの姿勢だけで、状態を判断しないようにしています。
Q. 背骨は柔らかいほどよいですか?
A.大きく動けばよい、とは限りません。
骨格や年齢による個人差があります。
必要な方向へ無理なく動かせるかを見ることが大切です。
Q. 背骨を動かせば、肩こりや腰痛はよくなりますか?
A.動かすことが役立つ場合はあります。
ただ、首・肩・腰の不調にはさまざまな要素が関係します。背骨の硬さだけを原因と決めることはできません。
痛みを我慢して動かさないでください。
まとめ
- 背骨は一本の棒ではなく、曲線のある骨のつながり
- 丸める・反る・ねじる・横に倒す動きがある
- 胸郭は背骨・あばら骨・胸の骨ででき、呼吸や肩の動きとも関係する
- 動きにくい場所があっても、必ず痛みになるわけではない
- 一つの正しい姿勢へ固定するより、必要に応じて動きを変えられることが大切
背筋をずっと伸ばし続けなくても大丈夫です。
まずは、自分の背骨が丸まったり、反ったり、ねじれたりする場所だと知るところから始めてみてください。
